建設業とは何か?―許可取得の第一歩として知っておきたい基礎知識

建設業とは何でしょうか。私たちの日常生活を支える住宅や道路、上下水道など、暮らしのインフラに欠かせない「建設工事」を担う仕事――それが「建設業」です。しかし、法律上の「建設業」には明確な定義があり、単なる工事作業とは異なります。

ここでは、建設業許可を取得するにあたって知っておくべき、建設業の基本的な考え方をわかりやすくご紹介いたします。


1. 建設業の法的な定義とは?

建設業法では、「建設業」を次のように定めています。

建設業法 第2条第1項
「この法律において『建設業』とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。」

つまり、「建設業」とは、建設工事を請負契約に基づいて“完成”させることを、事業として反復継続して行う仕事を指します。

ここで重要なのは「請負」という点です。これは成果物に対して責任を持つ契約形態であり、労働力を提供する「派遣」や「業務委託」とは異なります。


2. 建設工事とはどのような工事?

建設工事には、建物やインフラを「新築・改修・修繕・撤去」するための各種作業が含まれます。建設業法施行令では、これらの工事を29種類に分類し、以下のような大きな区分があります。

【一式工事】

  • 建築一式工事:住宅や商業施設の新築、増改築など
  • 土木一式工事:道路、橋、ダム、河川などの土木インフラ整備

【専門工事(例)】

  • 電気工事:照明・配線・送電設備など
  • 管工事:給排水・空調・ガス設備など
  • 解体工事、塗装工事、内装仕上工事 など多岐にわたります

各工事において、一定の経験や技術者の配置が必要とされており、業種ごとに許可を取得する必要があります。


3. 他の産業とどう違う?建設業の特徴

建設業は、製造業などの他産業とは大きく異なる特徴を持っています。

観点建設業製造業
製品の性質オーダーメイド(現場ごとに異なる)規格品(大量生産)
工事期間現場条件に応じて変動比較的安定
作業場所全国各地の屋外現場工場など固定された屋内
雇用体制多重下請け構造社内一貫または外注少数

建設業は「現場が工場」であるため、常に変化する環境の中で、安全性・品質・工期を管理する高い対応力が求められます。


4. 社会的役割と公共性

建設業は単なるビジネスではなく、私たちの暮らしや地域社会を支える「公共性の高い」産業です。

建設業の社会的な役割には、以下のようなものがあります:

  • 災害時の迅速な復旧(道路・橋の応急対応、仮設住宅建設など)
  • 地域経済の活性化と雇用の創出
  • 上下水道・交通インフラ・公共施設などの整備による生活の安全・利便性向上

近年では、防災・減災、国土強靭化、環境に配慮したまちづくりへの貢献も大きく期待されています。


5. 「建設業を営む」とは?

建設業法上で「建設業を営む」とされるには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 反復継続性があること(継続的に請け負う事業であること)
  2. 請負契約に基づき、完成責任を負うこと
  3. 1件あたり500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)または構造に関わる工事を請け負う場合は、許可が必要

たとえば、たった1件の工事であっても500万円を超える規模であれば、許可が必要になるため、注意が必要です。


6. まとめ

建設業とは、単なる「工事」ではなく、法令に基づいた明確な枠組みの中で、安全・品質・契約を管理しながら、社会に貢献する高度な専門事業です。

そして、建設業許可の取得は、そうした社会的責任を果たす事業者としての信頼を示す第一歩となります。

当事務所では、建設業許可の取得から維持管理まで、丁寧にサポートしております。お気軽にご相談ください。