「CCUS(建設キャリアアップシステム)」とは、建設業界で働く技能者一人ひとりの資格・経験・就業履歴などを業界統一の仕組みでデジタル管理するためのシステムです。
国土交通省の主導により、建設業の「担い手確保・育成」と「適正な評価・処遇改善」を目的として導入が進められています。


1. CCUSの概要

項目内容
名称建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System)
運営主体一般財団法人 建設業振興基金
開始時期2019年(本格運用)
対象建設技能者(現場作業員等)および建設業者(元請・下請)
管理項目就業履歴・保有資格・社会保険加入状況・表彰歴等

2. なぜ導入されたのか? 〜背景と目的〜

建設業界ではこれまで、

  • 職人の能力や経験が見えにくい
  • 社会保険に未加入の技能者が存在
  • キャリアパスが不明瞭で若手が定着しにくい
  • 技能者不足と高齢化が深刻化

といった課題がありました。

そこで、CCUSにより以下を目指しています:

技能者の適切な評価・処遇の向上
社会保険加入の徹底
施工体制の透明化・適正化
若年層の定着・育成環境の整備


3. システムの仕組み

CCUSは以下の2つの立場から登録・運用されます:

【1】技能者登録(個人)

  • 氏名・生年月日・保有資格・就業履歴などを登録
  • 一人ひとりに「ICカード(キャリアアップカード)」が発行され、現場入場時に読み取り
  • キャリアの蓄積によって、**レベル別に評価(レベル1〜4)**される

【2】事業者登録(会社・個人事業主)

  • 企業情報・許可業種・保有機械・所属技能者情報などを登録
  • 所属する技能者の情報を管理し、現場への配置・履歴の記録ができる

4. レベル評価制度(技能者のキャリアパス)

技能者はCCUS上で以下の4段階で評価されます:

レベル評価内容
レベル1建設業で働くための最低限の知識・経験(新人)
レベル2実務経験を有する中堅クラス
レベル3高度な技能と実績を持つ熟練技能者(職長クラス)
レベル4卓越した技能と指導力を有する者(技能士・優秀施工者など)

このように、**技能者の能力や成長が「見える化」**され、処遇改善や表彰、配置基準にも活用されます。


5. CCUSと社会保険・建設業許可の関係

✅ 社会保険加入状況の可視化

技能者ごとの保険加入状況がCCUS上で確認されるため、元請企業が下請の適正性を把握しやすくなります。

✅ 許可・経審への影響

現時点でCCUSの登録は建設業許可の必須要件ではありませんが、今後は以下の場面で重要性が増すと予想されます:

  • 経営事項審査(経審)における加点評価
  • 公共工事の入札参加資格審査
  • 元請からの下請選定基準(CCUS未登録業者は契約困難になる例も)

6. 導入のメリット

利用者メリット
技能者自身の能力が客観的に評価され、処遇改善の根拠に
企業(元請・下請)技能者の適正配置、社会保険管理の効率化、コンプライアンス強化
発注者・元請現場の安全性・適正性の確認が容易に

7. よくある質問(FAQ)

Q. 登録は義務ですか?
現時点では法的義務ではありませんが、多くの元請企業がCCUS登録を取引条件としており、実質的には必須となりつつあります。

Q. ICカードを忘れた場合、現場に入れませんか?
基本的にはカードによる記録が推奨されますが、代理入力も可能です。ただし繰り返すと信頼性に影響します。

Q. どこで登録できますか?
建設キャリアアップシステム公式サイト(https://www.ccus.jp)からオンラインで登録可能です。


8. まとめ

項目内容
名称建設キャリアアップシステム(CCUS)
主目的技能者の就業履歴・資格・保険加入状況の一元管理
技能者レベルレベル1〜4(キャリアの見える化)
企業への影響元請との取引、入札・経審での活用、社会保険管理
導入のメリット働く人の処遇改善・企業の信頼向上・安全管理の強化

建設業許可とCCUSに関するご相談も承ります

当事務所では、建設業許可の取得・更新だけでなく、CCUSの導入や書類整備に関するアドバイスも行っております。
「CCUSの仕組みがよくわからない」「どう登録すればよいかわからない」など、お困りの際はお気軽にご相談ください。