建設業許可申請(新規・更新・業種追加・変更届)において、「経営業務の管理責任者(常勤役員等)」および「専任技術者」の営業所への常勤性を証明することは、許可維持の根幹をなす要件です。

従来、この立証には「健康保険被保険者証」の写しが主たる疎明資料として用いられてきましたが、令和6年(2024年)12月の健康保険証廃止、および令和7年末までの経過措置終了を経て、2026年現在、審査実務は完全に新しい確認体制へと移行しています。

最新の「常勤性確認資料」の組み合わせと、実務上の注意点について詳説します。

1. 常勤性確認における「2点確認」の原則

従来のプラスチック製健康保険証は、それ1枚で「本人確認」と「所属(会社名)確認」が可能でした。しかし、現在主流となっているマイナ保険証(マイナンバーカード表面)には勤務先名称の記載がありません。

そのため、現在の審査基準では、原則として以下の「A群(本人・資格確認資料)」と「B群(所属確認資料)」を適切に組み合わせることが義務付けられています。

2. カテゴリー別:提出書類の具体的組み合わせ

申請者の状況に応じた必要書類を整理します。

(1) 社会保険加入者の場合(法人の役員・従業員等)

最も一般的なケースです。以下のA群とB群から各1点、計2点を用意します。

【A群:本人・資格確認資料】

  • マイナンバーカード(表面)の写し
  • 資格確認書(原本提示、写し提出)※マイナ保険証を保有しない者に発行される書類。

【B群:所属確認資料(会社名が入った資料)】

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書※毎年、定時決定(算定基礎届)後に発行されるもの。
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書※入社・就任時に発行されるもの。
  • 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)※市区町村から届く「特別徴収」の通知。

実務上、B群については「標準報酬決定通知書」が最も証拠能力が高く、審査がスムーズに進行します。

(2) 個人事業主(本人・専従者等)の場合

  • 国民健康保険被保険者証(またはマイナ保険証表面)の写し
  • 直近の所得税確定申告書(第一表・第二表等)の写し※受付印があるもの、または電子申請の受信通知を添付。

3. マスキング(黒塗り)処理に関する厳格な規定

個人情報保護および「番号法」等の遵守に基づき、提出書類のマスキングについて厳格な指示があります。

書類名マスキング(黒塗り)が必要な箇所
マイナンバーカード表面の「臓器提供意思表示欄」(※裏面はコピー不可)
医療保険関連書類被保険者記号・番号、枝番、基礎年金番号、QRコード
標準報酬決定通知書等上記に加え、本人以外の氏名、生年月日、標準報酬月額等

4. 実務上の留意点と「疎明不足」への対応

手引きの文言だけでは判断が難しい実務上の注意点を挙げます。

① 標準報酬決定通知書の管理

多くの事業所において、年金事務所から届く「標準報酬決定通知書」が紛失されているケースが見受けられます。この書類は、建設業許可における常勤性の「唯一無二の所属立証資料」となり得るため、経理部門での厳重な保管が不可欠です。紛失した場合は、年金事務所で「被保険者記録照会回答票」を取得する等の代替措置を講じる必要があります。

② 役員の「二重就任」と常勤性

他社の役員を兼務している場合、東京都では「主たる報酬を得ていること」「他社において常勤の役職でないこと」を厳しく問われます。この場合、基本書類に加え、他社の「非常勤証明書」や確定申告書の写しを別途求められることが一般的です。

③ 住民税の「普通徴収」によるリスク

役員報酬や給与を支払っていても、住民税を「普通徴収(個人払い)」にしている場合、住民税通知書(特別徴収義務者用)を所属確認資料として使用できません。この場合、標準報酬決定通知書が唯一の頼みとなるため、社会保険加入が適正に行われていることが大前提となります。

5. まとめ:行政書士による事前診断の重要性

2026年現在の建設業許可実務において、常勤性確認資料の不備は、補正(出し直し)による許可取得の遅延だけでなく、要件欠格(不許可)に直結する重大なリスクです。

「手元にある書類で受理されるか不安である」「マイナ保険証への移行に伴い、適切な所属確認書類が分からない」といった懸念をお持ちの事業者様は、申請前に専門家である行政書士のリーガルチェックを受けることを強く推奨いたします。

当事務所では、個々の事業者の状況に合わせた最短・確実な書類構成を提案いたします。